数年前から、看板、電柱広告、電話帳などそれまでおこなっていた一切の広告を取りやめました。近隣に小児科医院も増えたことですし、そろそろ自然に引退しようと思ったのです。
患者さんもめっきりすくなくなりました。でも、診察が終わってからも話をしていく方が増えて、気が付いたら今の方が診療が楽しいのです。むかし、患者さんの多かったときは、いかに早く正確な診断をして次の人を待たせずに診るかを気にしていて、”話しかけないで”オーラが出ていたみたいです。
身体の具合の悪くなる時には必ず生活に原因があること、こころに関連があることも、今更ながらですが分かってきました。
3年前、それまで10年近く寝たり起きたりで介護を必要としていた私の母が亡くなり、何だかぽっかり穴が空いたようでした。丁度そんな時、名古屋の女医さん達の呼びかけで「小児科医のためのカウンセリング講座」という勉強会が催されるのを知り、興味を持ち参加してみました。
講師は西尾和美という、アメリカで長年カウンセラーをやっている方で、たまたま手元に「今日一日のアファメーション〜自分を愛する365日〜」というその人の書いた本を持っていたので、会ってみたかったこともあります。
2日間の講習会は目が覚めるようでした。特に西尾先生のカウンセリングのロールプレイでは、言葉がこれだけ力のあるものなのかと感動し、この力を身につけたいと思いました。
最近カウンセリングやこころのケアなどという言葉が良く聞かれるようになってきましたが、日本ではカウンセラーとはどういう仕事か、まだ本当には知られていないのではと思います。自分もそうでしたが、何かつらいときに相談する場が分かりません。特に田舎に行くほどそうです。
新潟は地方都市で、まだカウンセリングになじみのない土地かもしれません。それに我慢づよい県民性なのか、なかなか思いを口に出さず、そのためばかりではないのでしょうが自殺率は高いようです。
また、家族やこころの問題が関係しているとおもわれるお子さん達を専門外来に紹介しても、混んでいて直ぐには診てもらえない状態があります。
ならば、自分がもう一度学んで少しでも役に立てたら、と思ったのです。小児科の看板も、もう数年は掲げておくことにしました。なぜなら私は発達という視点を持った、カウンセリングの出来る小児科医でありたいからです。
一切止めていた広告ですが、何を考え、何をやっているのか、外に発信しなければ必要な人に届きません。今回は思い切ってホームページを出してみることにしました。
みなさんのお力になれますように。経験と学びを生かして、誠実にご相談にのります。
(2009.7.1)